副業解禁のデメリットを乗り越えていくには

副業

副業解禁が進むだろうと言われる2018年。すでに、副業を前提とした雇用を行っている企業もあり、その進捗ぶりには目を見張るものがあります。しかし、当然そういった社会システムの大きな変化に対しては、異を唱える意見が出てくるのも事実。そこには一定の説得力があります。今回は、そんな副業解禁のデメリットについて考えてみたいと思います。

副業解禁で、労働時間の管理が難しくなる

まずは一般的な副業解禁のデメリット「労働時間」について、見てみましょう。

労働時間の管理が難しい

これは、副業解禁においてまず指摘される点。これまで一つの企業に勤めていた人間にとって、労働時間の管理は一つの企業によって一括で行われるものでした。そこで、残業代が支払われたり、法定時間以上の労働をセーブしたりしていたわけです。副業が解禁になり、複数の企業での就労が当たり前の世の中になってしまうと、この管理をどうするのかという問題が出てきます

残業の範囲が不明確になる

例えばA社で5時間働き、またB社で同じく5時間働いたとき、その労働時間の合計は10時間となります。このとき、その労働の合計である10時間は一日の労働時間の限界である8時間を2時間超えているわけですが、果たして、その2時間の残業をしているのはどちらの会社なのでしょうか。

法的には「事業所を異にする場合でも労働時間は通算する」となっているので、2時間の残業は決定。では残業代をどちらが払うのでしょうか。きっとどちらの企業もその支払いを渋る事でしょう。

労働時間が延びる恐れが出てくる

先の例において、A社においてもB社においても5時間しか働いていません。つまり、これまで一人の労働者が8時間働くのが当たり前だった会社組織において、5時間しか働いていないのは、見かけ上損失になるはずです。もしこれを会社が副業解禁の時代のスタイルとして許容しなければ、社内の立場は悪くなります。

給与はもちろんのこと賞与や出世における査定においても、かなりの不利を被ることになるのは目に見えているはずです。そうなると、副業をしていない人と同じ評価を得たいなら、さらに3時間追加で働かなければいけなくなるのです。

しかもこれがA社だけなら+3時間ですがB社も同じような会社なら+6時間。合計で考えれば16時間の労働をこなさないと、副業をしていない社員と同等の扱いを受けられないことを意味するのです。これは、もはや、死に至る労働時間ですね。

副業解禁で、会社の管理の範囲が不明確になる

労働時間と同じように、会社の社員としてどこからどこまでを社員扱いにするか、認める範囲が難しくなっていると問題視されています。

労災認定があいまいになる

労災認定では災害が発生した就業先の事業主に支払いの義務が発生します。これは何も働いている最中だけではなく、例えば事業所に向かう途中や帰宅する途中に事故にあった場合も、労災認定されるのが普通です。

では、副業においてA社かからの帰宅途中にB社の事業所があり、その途上で事故が起こった場合はどうでしょう。この場合、事故が起こったのは「A社からの帰宅途中」なのか「B社への出社途中」であるのかはなかなか難しい判断になるのは言うまでもありません。

また、過重労働による健康不良についてもそうです。明らかに労働過多が原因で体調を崩した場合、その治療費や保証が労災認定ののちに出されることは良く知られていることですが、これも判断がかなり難しくなります。

というのも、A社とB社で働いている場合、どちらの仕事が過多であったのかの判定は常識的には不可能です。これが1社で働いているのであれば、明快ですが、副業が当たり前の世の中になればこういった問題は続発することになるでしょう。

労働条件や待遇の改善の矛先があいまい

労働者にとって、労働条件や待遇の改善を訴えるのは正当な権利です。しかし、副業によって複数の会社に所属しているとなると一体どちらの待遇が悪くどちらの労働条件を改善すべきなのかについては、かなり曖昧になるでしょう。

場合によっては、副業で待遇が悪いのだから当然だと居直られたりもするかもしれません。ほかにも、副業をしているから労働条件が過酷に感じられるのではないか、と労働条件の改善に向けての努力を怠る企業も出てくるかもしれないのです。

これも、副業によって複数の会社に勤めることで、会社の管理の範囲があいまいだから起こること。副業時代に訪れる、わかりやすい労働者のデメリットです。

副業解禁のデメリットは、ほかにもいろいろ考えられる

守秘義務違反に問われる

もし、会社に情報漏洩があった場合、まず疑われるのは副業をしている人間になるかもしれません。副業解禁において企業側のリスクとして一番に挙げられるのが、情報漏洩なのですから、副業をしている人間は最初からマークされているようなもの。もちろんその事実がないのならば構いませんが、痛くもない腹を探られるのはいい気持ちではありません。

守秘義務違反を求められる

企業はすべてルールに従って正しく運営されているとは限りません。もしあなたが副業先として同業他社に勤めていることを知ったとき、もしかしたら企業の方から情報のスパイを頼まれるようなことがあるかもしれません。協力による待遇の良化をちらつかされたり、逆に協力しない場合の待遇悪化を迫られたり。ない話ではありません。

会社内での人間関係

会社内での人間関係も、副業によって悪化するかもしれません。情報の漏洩やたくさんの企業に勤める人間が多数いることによる腹の探り合いなども、起こる可能性は否定できないのです。また皆が単一の会社に勤めていた時代より、横のつながりは薄くなるかもしれません。社内でも団結心や協力関係は、もろくなる可能性があります。

まず求められるのは法改正

こういった状況を改善するために、まず求められるのは法改正でしょう。というのもこういったデメリットの発生源は、副業というものが当たり前になっている世の中を想定しないで作られた法律によって基準が決められているからです。

自らが働き方改革を推し進め、副業解禁を声高に叫んでいる以上、現状に即した素早い法案の提示が政府には求められます。しかし、いかに民主主義国家とは言え、一つ一つの法律に関して一般国民がどうこうするというのは、実際問題難しい話です。

デモを起こしたところで、焼け石に水なのは歴史を振り返るまでもありません。となれば、ほかの道を探るしかないのです。

副業の一般化、これが最速の道。

法律は選挙民の多さで決まる

法改正を考えるとき、では一体その原動力とは何になるのか。それは言うまでもなく、選挙の「清き一票」です。国会議員は、この清き一票を得るために政治活動をやっていると言っても過言ではないのですから、政治家に法案を作らせるにはこの票数を多く稼げなければいけないのです。

つまり、副業をしている人間が多くいないと、その状況改善のための法律はできないということです。

副業を解禁しても副業をしている人間が全労働者の数パーセントしかおらず、法の不備により困っている人間がそのうちのさらに数パーセントで、法改正を求める人間がそのまた数パーセントだったとしたら。国も政治家も動くはずはないのです。

副業をすることで副業ができる世の中にする

何か矛盾しているようですが、充実した副業解禁時代を築くには実はこれが一番の近道。そう、たくさんの人間が副業を始め、その中で問題点が実際に洗い出され、見つかり、問題となって初めて、国は動き始めます。副業をする多くの人間が、法の不備による不利益を被って初めて国は動くのです。

つまり、副業が一般化してなんの問題なく社会が回っていくような法整備を求めるのは、まず副業が一般化していなければいけないというわけです。とは言えそれは社会の捨て石になるというのではなく、社会のパイオニアになるということでもあります。

副業によるメリットを考えれば、法整備が整っていないことを理由に躊躇するのはもったいないですし、法整備が整うのを待っていたらいつまでも旧態依然とした社会の中で働くしかありません。

急速に変化する社会で、それは、大きな出遅れとなるでしょう。副業解禁時代を生きる労働者の先駆けとなるには、覚悟して歩き出す、それが必要なのです

セルフマネージメントで副業草創期を乗り切ろう

それが何であれ、初めのうちはいろいろ不備があり、問題が起こるのは仕方のない事です。しかし、それを理由に進むことを躊躇していては、かつてよりスピード感のある社会の変化についていくことはできません。そこで必要なのが、セルフマネージメント

自分の労働時間や労働環境の管理を会社に任せるのではなく、自分で管理し、たとえいろいろな不備があったとしてもそれを加味したうえでスムーズに働けるような計画を立てる。副業に理解ある企業を選ぶことも、事前に労働時間や労災の範囲などを確認しておくことも。

全て自分で自分を管理し、自分の管理者を自分に設定する、セルフマネージメントで出来ることです。社会や世間は、副業の解禁を危険だ拙速だと言い募るでしょう、そしてそれは間違っているとは言えないのも現状確かに事実です。

しかし、それが整うのを待っていたら、あらゆるチャンスを逃してしまいます。しっかりとしたセルフマネージメントを確立して、自らの仕事を自らでしっかりと管理運営していく事で副業解禁時代の草創期を乗り切っていく。

きっとそれは、そののちの時代が訪れたとき、きっと役に立つスキルになることは間違いありません。
踏み出す時にきちんと踏み出す。ある意味副業に必要な決断力は、ここから始まっているのかもしれませんね。

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都内のIT系企業に勤めながら副業でライターをやっています。 趣味は始めたばかりのゴルフ。

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東京のベンチャー企業で働くアラサー男子です。好きなものは音楽とウーロンハイ。今を生き抜くためのカギ、“副業”についてのアレコレを発信していきます。